発音・アクセント / 発音記号と音のルール
母音の発音記号と発音
要点整理
英語の母音は、日本語の「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つよりもずっと数が多く、口の開け方・舌の位置・唇の丸め方・音の長さによって細かく使い分けられています。この違いを正確に表すために使われるのが発音記号(IPA)です。
このサイトでは、日本の多くの学習英和辞典で使われている発音記号の体系(主にイギリス英語(RP)を基準にした母音の体系)にそって説明し、アメリカ英語で発音が大きく異なる場合は、その都度注記します。
短母音(短く発音する母音)
| 発音記号 | 発音のポイント | 例(単語 / 発音記号) |
|---|---|---|
/ɪ/ |
日本語の「イ」よりも力を抜き、口をあまり開けずに短く出す。 | sit /sɪt/、ship /ʃɪp/、big /bɪɡ/ |
/e/ |
日本語の「エ」に近いが、やや口を開けて発音する。 | bed /bed/、ten /ten/、red /red/ |
/æ/ |
「ア」と「エ」の中間のような音。口を横に大きく開く。 | cat /kæt/、hat /hæt/、bag /bæɡ/ |
/ʌ/ |
力を抜いた短い「ア」。口はあまり開けない。 | cup /kʌp/、sun /sʌn/、love /lʌv/ |
/ɒ/ |
唇を丸めて短く出す「オ」(イギリス式)。 | hot /hɒt/、dog /dɒɡ/、box /bɒks/ |
/ʊ/ |
唇を軽く丸めるが、力は入れない短い「ウ」。 | book /bʊk/、put /pʊt/、foot /fʊt/ |
/ə/ |
あいまい母音(schwa)。力を抜いた、こもったような「ア」に近い音。強勢のない音節に現れる。 | about /əˈbaʊt/、sofa /ˈsəʊfə/、banana /bəˈnɑːnə/ |
※アメリカ英語では、/ɒ/ の語の多くが /ɑː/ で発音されます(例:hot /hɑːt/)。
長母音(長く伸ばして発音する母音)
| 発音記号 | 発音のポイント | 例(単語 / 発音記号) |
|---|---|---|
/iː/ |
口を左右に強く引いて、長く伸ばす「イー」。 | see /siː/、sheep /ʃiːp/、tea /tiː/ |
/ɑː/ |
口を大きく開けて、長く伸ばす「アー」。 | car /kɑː/、father /ˈfɑːðə/、arm /ɑːm/ |
/ɔː/ |
唇を丸めて、長く伸ばす「オー」。 | ball /bɔːl/、walk /wɔːk/、door /dɔː/ |
/uː/ |
唇を丸めて前に突き出し、長く伸ばす「ウー」。 | food /fuːd/、blue /bluː/、moon /muːn/ |
/ɜː/ |
口をあまり開けず、舌を中ほどに保ったまま長く伸ばす、こもった「アー」。 | bird /bɜːd/、girl /ɡɜːl/、work /wɜːk/ |
※アメリカ英語では、car・bird のように母音のあとに r が続く語で、実際に舌をそらせて r を発音するため /kɑːr/・/bɜːrd/ のように表記されます。
二重母音(2つの母音がなめらかにつながる音)
1つの音の中で、口の形が別の母音へなめらかに変化していく音です。
| 発音記号 | 発音のポイント | 例(単語 / 発音記号) |
|---|---|---|
/eɪ/ |
「エ」から「イ」へなめらかに変化する。 | day /deɪ/、name /neɪm/、they /ðeɪ/ |
/aɪ/ |
「ア」から「イ」へ変化する。 | time /taɪm/、my /maɪ/、eye /aɪ/ |
/ɔɪ/ |
「オ」から「イ」へ変化する。 | boy /bɔɪ/、voice /vɔɪs/、coin /kɔɪn/ |
/aʊ/ |
「ア」から「ウ」へ変化する。 | now /naʊ/、house /haʊs/、cloud /klaʊd/ |
/əʊ/ |
「オ」から「ウ」へ変化する(イギリス式)。 | go /ɡəʊ/、home /həʊm/、boat /bəʊt/ |
※アメリカ英語では /əʊ/ の代わりに /oʊ/ と表記されます(例:go /ɡoʊ/)。また、上の5つ以外にも、ear /ɪə/、hair /eə/、tour /ʊə/ のように、母音からあいまい母音 /ə/ へ変化していく二重母音(中心二重母音)もあります。
母音の違いが意味を変える
英語では、母音の長さや音質のわずかな違いによって、まったく別の単語になってしまうことがあります。カタカナ発音のまま「イ」「ア」とひとまとめに読んでしまうと、区別ができなくなるので注意しましょう。
- ship
/ʃɪp/(船)と sheep/ʃiːp/(羊) - full
/fʊl/(いっぱいの)と fool/fuːl/(ばか者) - cat
/kæt/(猫)と cut/kʌt/(切る)
例題
例題1(基本)
問題
次の4つの単語のうち、下線部の発音が他の3つと異なるものを1つ選べ。
① sit ② ship ③ big ④ nice
解答・解説を見る
1語ずつ発音記号を確認します。
- ① sit
/sɪt/ - ② ship
/ʃɪp/ - ③ big
/bɪɡ/ - ④ nice
/naɪs/
①②③はすべて短母音 /ɪ/ です。④の nice は「サイレントe」のパターン(母音字+子音字+e)で、i は二重母音 /aɪ/ で読みます。したがって、発音が異なるのは④です。
答え:④
例題2(標準)
問題
次の単語の下線部の母音を表す発音記号として最も適切なものを、それぞれ①~⑤から選べ。同じ記号を2度使ってもよい。
(1) work (2) boat (3) car
① /ɔː/ ② /ɜː/ ③ /əʊ/ ④ /æ/ ⑤ /ɑː/
解答・解説を見る
それぞれの単語の発音を確認します。
- work
/wɜːk/→ 口をあまり開けずに伸ばす、こもった長母音なので② - boat
/bəʊt/→ 「オ」から「ウ」へ変化する二重母音なので③ - car
/kɑː/→ 口を大きく開けて伸ばす長母音なので⑤
答え:(1)② (2)③ (3)⑤
例題3(応用)
問題
sheep と ship は、綴りも意味も異なる単語だが、発音の違いは母音の部分にある。それぞれの発音記号を書き、どのような違いがあるかを説明せよ。
解答・解説を見る
まず、それぞれの発音記号を確認します。sheep は /ʃiːp/、ship は /ʃɪp/ です。
子音の部分(語頭の /ʃ/、語末の /p/)はまったく同じですが、母音の部分だけが異なります。sheep の /iː/ は長母音で、口を左右に強く引いて長く伸ばす音です。一方 ship の /ɪ/ は短母音で、力を抜いて短く出す音です。
この長さと音質の違いをカタカナの「イ」1つで済ませてしまうと、「羊」のつもりで話しているのに「船」に聞こえてしまう、といったことが起こり得ます。
答え:sheep /ʃiːp/(長母音 /iː/)、ship /ʃɪp/(短母音 /ɪ/)。母音の長さと口の開け方(緊張の度合い)が異なる。
確認問題
問題
次の4つの単語のうち、下線部の発音が他の3つと異なるものを1つ選べ。
① cup ② love ③ put ④ sun
答え
cup /kʌp/、love /lʌv/、sun /sʌn/ はすべて /ʌ/。put /pʊt/ だけが /ʊ/ なので、答えは③。