文法 / 特殊構文

倒置

要点整理

英語の文は基本的に「主語(S)+動詞(V)」の語順で成り立っていますが、ある特定の語句を強調のために文頭に置くと、主語と(助)動詞の語順が入れ替わることがあります。この現象を倒置と呼びます。倒置は、文頭に置かれる語句によっていくつかのパターンに分けられます。

否定語(準否定語を含む)が文頭に来るときの倒置

never・little・not only・seldom・hardly・rarely といった、否定または準否定の意味を持つ語(句)を強調のために文頭に置くと、その直後の主節は疑問文と同じ「助動詞+主語+動詞」の語順になります。

I have never seen such a beautiful sunset.(通常の語順) Never have I seen such a beautiful sunset.(倒置した語順) (私はこれほど美しい夕日を見たことがない。)

Never を文頭に出すと、後ろは疑問文と同じ have I seen という語順になります。助動詞(ここでは have)がもともとある文はその助動詞を主語の前に出しますが、一般動詞だけの文で助動詞がない場合は、do/does/did を補って倒置します。

She rarely eats fast food.(通常の語順) Rarely does she eat fast food.(倒置した語順) (彼女はめったにファストフードを食べない。)

一般動詞 eats には助動詞がないので、does を補い、動詞は原形 eat に戻します。

Not only は「〜だけでなく」という意味で、文頭に出すと同様に倒置が起こります(この場合、しばしば but also を伴う文の一部として使われます)。

Not only did he win the race, but he also broke the record. (彼はそのレースに勝っただけでなく、記録も更新した。)

Only+副詞句が文頭に来るときの倒置

Only(〜して初めて、〜だけ)で始まる副詞句・副詞節が文頭に置かれた場合も、直後の主節で倒置が起こります。

He realized his mistake only after the meeting.(通常の語順) Only after the meeting did he realize his mistake.(倒置した語順) (会議の後になって初めて、彼は自分の間違いに気づいた。)

Only after the meeting という副詞句を文頭に出すと、主節は did he realize という疑問文の語順になります。

Only when she calmed down could she explain what had happened. (彼女は落ち着いて初めて、何が起こったのかを説明することができた。)

ここでは Only when she calmed down という副詞節全体が文頭に置かれており、その後ろの主節 she could explain が could she explain という倒置した語順になっています。

場所を表す副詞句が文頭に来るときの倒置

場所を表す副詞句を文頭に置いて、その場所に「何があるか・何が起こるか」を描写する場合にも倒置が起こります。この場合は、否定語のときとは異なり、do/does/didを使わず、主語と動詞をそのまま入れ替える完全倒置になるのが特徴です。

An old temple stands on the hill.(通常の語順) On the hill stands an old temple.(倒置した語順) (その丘の上に、古い寺が立っている。)

注意:主語が代名詞のときは倒置しない

場所を表す副詞句による倒置は、主語が名詞のときに起こる現象です。主語が he・she・it・they のような代名詞の場合には、倒置は起こらず、通常の「主語+動詞」の語順のままになります。

Here comes the bus.(バスが来た。)— 主語が名詞(the bus)なので倒置 Here it comes.(それが来た。)— 主語が代名詞(it)なので倒置しない(Here comes it. とは言わない)

この違いは見落としやすいポイントなので、「場所の副詞句+倒置」は主語が名詞のときだけに起こるというルールをしっかり覚えておきましょう。

例題

例題1(基本)

問題

次の英文を、下線部の語句を文頭に置いた倒置の文に書き換えよ。

I have little interest in politics.

解答・解説を見る

little interest(ほとんど興味がない)は、準否定語 little が名詞 interest を修飾してできた1つの名詞句で、have の目的語になっています。この名詞句をまるごと文頭に出すと、残りの部分(I have 〜 in politics)は疑問文と同じ語順になります。

この文には助動詞がない一般動詞の文なので、do を補って主語の前に出し、動詞は原形 have に戻します。

Little interest do I have in politics.

なお、実際にはこのような文は I have little interest in politics. のまま使われることも多く、倒置形はやや硬い響きを持ちます。倒置の作り方の練習として、「準否定語を含む語句をまとめて文頭に出し、残りを疑問文と同じ語順にする」という手順を確認しておきましょう。

答え:Little interest do I have in politics.(私は政治にほとんど興味がない。)

例題2(標準)

問題

次の日本語に合うように、( )内の語を並べかえて英文を完成させよ。

「彼女がその部屋に入って初めて、私たちは何かがおかしいと気づいた。」

( she / only / entered / the room / when ), did we notice that something was wrong.

解答・解説を見る

「〜して初めて」は Only when 〜 で表します。Only when が導く副詞節の中身は「彼女がその部屋に入った」= she entered the room です(この副詞節の内部は倒置しません)。

Only when she entered the room, did we notice that something was wrong.

答え:Only when she entered the room

例題3(応用)

問題

次の英文には、倒置に関して文法的な誤りが1か所ある。誤りを指摘し、正しい形に直せ。

Down the street came it slowly.

解答・解説を見る

場所を表す副詞句(Down the street)が文頭に来て倒置が起こるのは、主語が名詞の場合だけです。この文の主語 it は代名詞なので、倒置は起こらず、通常の「主語+動詞」の語順のままにしなければなりません。

It came down the street slowly. (それはゆっくりとその通りをやって来た。)

答え:Down the street came it → It came down the street に直す(主語が代名詞のときは倒置しない)。

確認問題

問題

次の英文を、Never を文頭に置いた倒置の文に書き換えよ。

I have never heard such wonderful music.

答え

Never have I heard such wonderful music.(私はこれほど素晴らしい音楽を聞いたことがない。)