英作文 / 英作文の基礎
和文英訳のコツ(直訳できない表現の処理)
要点整理
なぜ直訳ではうまくいかないのか
日本語には、単語一つ一つの意味を訳しただけでは英語として意味が通じない、あるいは不自然になる言い回しがたくさんあります。これは、日本語と英語で「同じ状況をどこに注目して表現するか」が違うためです。ここでは、和文英訳で特につまずきやすい代表的な表現を、英語での自然な言い換え方とセットで整理します。
「〜てしまう」の処理
「〜てしまう」には、大きく分けて2つの意味があります。1つは「動作が完了した」ことを表す用法、もう1つは「残念だ・後悔している」という気持ちを表す用法です。
完了を表す場合は、英語では特別な単語を足す必要はなく、単に過去形や現在完了形で表すだけで十分なことが多いです。
「宿題はもう終わらせてしまった。」 I have already finished my homework.(私はもう宿題を終わらせてしまった。)
already(すでに)を加えることで、「てしまった」の持つ「完了した」というニュアンスを表せます。
残念・後悔を表す場合は、動詞をそのまま使ってもよいですが、文脈や副詞(unfortunately など)で残念な気持ちを補うと、ニュアンスがより伝わります。
「大事な書類をなくしてしまった。」 I lost an important document.(私は大事な書類をなくしてしまった。)/ Unfortunately, I lost an important document.(残念なことに、私は大事な書類をなくしてしまった。)
lose(なくす)という動詞自体に、すでに「望ましくない結果」というニュアンスが含まれているため、多くの場合は動詞だけで「〜してしまった」の意味を表せます。
「〜がち」の処理
「〜がち」は「その傾向がある」という意味なので、英語では tend to ~ や be apt to ~、be inclined to ~ を使って表します。
「彼は最近、朝食を抜きがちだ。」 He tends to skip breakfast these days.(彼は最近、朝食を抜きがちだ。)
「〜ため」の処理:理由か目的か
「〜ため」は日本語では便利な表現ですが、英語に訳すときは「理由(なぜなら)」なのか「目的(〜するために)」なのかを、必ず見分ける必要があります。理由なら because of / due to / since、目的なら to ~ / in order to ~ を使います。
「台風のため、学校は休校になった。」(理由) School was closed because of the typhoon.(台風のため、学校は休校になった。)
「早く起きるため、彼は目覚まし時計を3つセットした。」(目的) He set three alarm clocks in order to wake up early.(早く起きるため、彼は目覚まし時計を3つセットした。)
「せっかく〜のに」の処理
「せっかく」は、努力や機会を表す言葉で、英語に一対一で対応する単語はありません。「わざわざ〜したのに」という意味を、even though(〜だけれども)などを使って表します。
「せっかく早起きしたのに、バスに乗り遅れた。」 Even though I got up early, I missed the bus.(せっかく早起きしたのに、バスに乗り遅れた。)
「なんとか〜できた」の処理
「なんとか」は、困難を乗り越えて達成したというニュアンスを表します。英語では manage to ~(なんとか〜する、苦労して〜する)がぴったり対応します。
「彼女はなんとか締め切りに間に合わせることができた。」 She managed to meet the deadline.(彼女はなんとか締め切りに間に合わせることができた。)
「〜わけではない」の処理:部分否定
「〜わけではない」は、「全部が〜というわけではない」という部分否定を表すことが多い表現です。英語では not always や not necessarily を使います。
「お金持ちが必ずしも幸せというわけではない。」 Rich people are not always happy.(お金持ちが必ずしも幸せというわけではない。)
例題
例題1(基本)
問題
次の日本語を英語にしなさい。「〜がち」の表現に注意すること。
「私の弟は、宿題を忘れがちだ。」
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「〜がち」は tend to ~ で表します。主語は my brother、動詞は forget(忘れる)、目的語は his homework です。
答え:My brother tends to forget his homework.
例題2(標準)
問題
次の日本語を英語にしなさい。下線部「〜てしまった」のニュアンスに注意すること。
「彼は財布を電車に置き忘れてしまった。」
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leave ~ behind(〜を置き忘れる)という動詞句自体に、すでに「望ましくない結果」のニュアンスが含まれています。「〜てしまった」を表す特別な単語を追加する必要はなく、過去形にするだけで十分です。
答え:He left his wallet on the train.
より強く残念な気持ちを出したい場合は、文頭に Unfortunately, を加えて Unfortunately, he left his wallet on the train. とすることもできます。
例題3(応用)
問題
次の日本語を英語にしなさい。「せっかく〜のに」と「〜わけではない」の両方の処理を含む文です。
「せっかく毎日練習したのに、試合に勝てたわけではなかった。」
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まず文全体を2つの部分に分けて考えます。
前半「せっかく毎日練習したのに」は、譲歩を表す even though で表します。「毎日練習した」は practiced every day です。
後半「試合に勝てたわけではなかった」は、部分否定ではなく、単純な否定(勝てなかった)を柔らかく表現しているだけなので、not necessarily ではなく、単純な否定 did not win で表す点に注意しましょう。「〜わけではない」という日本語の形だけを見て機械的に not necessarily を使うと誤りになります。
$\text{Even though I practiced every day, I did not win the game.}$
答え:Even though I practiced every day, I did not win the game.
日本語の「〜わけではない」は必ずしも部分否定とは限らず、文脈によっては単なる否定を柔らかく言っているだけの場合があります。「わけではない」という言葉の形だけで判断せず、文全体の意味を考えることが大切です。
確認問題
問題
次の日本語を英語にしなさい。
「彼女は忙しくて、私にメールを返すのを忘れてしまった。」
答え
She was so busy that she forgot to reply to my email.