読解 / 読解の基本技術

スキミングとスキャニング

要点整理

長文読解では、すべての文を同じスピード・同じ丁寧さで読んでいると、時間が足りなくなってしまいます。設問の種類に応じて読み方を変える技術、すなわちスキミングスキャニングの使い分けが重要です。

スキミング:概要をつかむ読み方

スキミングは、「この文章は結局、何について書かれているのか」という大意・主題をつかむための読み方です。すべての単語を読むのではなく、次のような部分に重点的に注目します。

  • タイトル・見出し(あれば)
  • 各段落の最初の1~2文(トピックセンテンスであることが多い)
  • 各段落の最後の1文(まとめや結論であることが多い)
  • 太字・イタリックなど強調されている語句

スキミングが有効なのは、次のような設問のときです。

  • 「この文章の主題(main idea)として最も適切なものはどれか」
  • 「この文章にタイトルをつけるとしたら、最も適切なものはどれか」
  • 「筆者がこの文章で最も伝えたいことは何か」

これらの設問は、文章の細部ではなく全体像を問うものなので、一語一句を精読する必要はありません。まず全段落のトピックセンテンスだけをつなげて読み、大まかな流れをつかんでから選択肢を検討すると、時間を大幅に節約できます。

スキャニング:情報を探し出す読み方

スキャニングは、あらかじめ「何を探しているか」がわかっている状態で、その情報だけをピンポイントで見つけ出す読み方です。文章全体を理解する必要はなく、探している語句が見つかるまで、視線を素早く走らせます。

スキャニングが有効なのは、次のような設問のときです。

  • 「本文によると、このイベントは何年に始まったか」
  • 「本文中で、〇〇という人物が最初に紹介されているのはどの段落か」
  • 「本文中の数字 X は、何を表しているか」

このような設問では、まず設問文の中の手がかり(固有名詞、数字、年号、専門用語など)を確認し、その手がかりと同じ、あるいは似た表記が本文のどこにあるかを目で追って探します。見つけたら、その周辺の1~2文だけを丁寧に読んで答えを確定させます。

2つの読み方の使い分け

設問のタイプ 適した読み方 読む対象
主題・要旨・タイトルを問う設問 スキミング 各段落の最初と最後の文
特定の数字・日付・固有名詞を問う設問 スキャニング 手がかりの語句とその周辺
段落の役割・論理展開を問う設問 スキミングに近い(段落単位で読む) 各段落のトピックセンテンス
特定の1文の意味・指示語の内容を問う設問 スキャニングに近い(該当箇所を特定してから精読) 該当文とその前後

実際の試験では、まず設問に目を通してから本文を読み始めるとよいでしょう。設問が主題を問うものであればスキミングの姿勢で、細部を問うものであればスキャニングの姿勢で本文に向かうことで、限られた時間の中で効率よく正解にたどり着くことができます。

例題

例題1(基本)

問題

次の文章を読み(実際の試験ではもっと長い文章を想定)、この文章の主題として最も適切なものを(1)~(4)から選べ。答える際は、各段落の最初の文だけに注目してよい。

Paragraph 1: Coffee has become one of the most widely traded agricultural products in the world. Farmers in more than seventy countries grow coffee beans, and the industry supports millions of jobs.

Paragraph 2: However, coffee farming also faces serious challenges. Rising temperatures and unpredictable rainfall, both linked to climate change, are making it harder to grow high-quality beans in many traditional coffee-growing regions.

Paragraph 3: As a result, researchers are now developing new coffee plant varieties that can survive hotter and drier conditions, in hopes of protecting both the industry and the livelihoods that depend on it.

(1) The history of coffee as a traded product (2) The effects of climate change on coffee farming and efforts to address them (3) The number of countries where coffee is grown (4) How to brew a better cup of coffee at home

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各段落の最初の文だけをつなげて読むと、「コーヒーは世界で広く取引される農産物だ」→「しかし、コーヒー栽培は気候変動という課題に直面している」→「そのため、研究者は新しい品種を開発している」という流れが見えます。

3段落全体を貫いているのは、「気候変動がコーヒー栽培に与える影響と、それへの対策」という主題です。(1)は第1段落だけの内容、(3)は第1段落中の一情報にすぎず、(4)は本文に一切登場しません。文章全体の大意を問う設問では、一部の段落だけに当てはまる選択肢や、本文にない内容の選択肢を除外することが重要です。

答え:(2)

例題2(標準)

問題

次の文章を読み、「サンプル調査に参加した学生の人数」を答えよ。文章全体を読む必要はなく、数字を探すつもりで読んでよい。

A university research team recently studied how sleep habits affect academic performance among first-year students. The study included 342 students from five different departments and lasted for one full academic semester. Participants recorded their sleep hours every night using a smartphone application, and researchers compared this data with the students' final exam scores. The results showed a clear pattern: students who slept less than six hours per night on average scored noticeably lower than those who slept seven hours or more.

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設問の手がかりは「サンプル調査に参加した学生の人数」、つまり数字です。文章全体を丁寧に読まなくても、数字が出てくる箇所だけを目で追えば、"The study included 342 students from five different departments" という一文がすぐに見つかります。

ここでの342という数字が、調査に参加した学生の人数です。five(部門の数)や six / seven(睡眠時間)といった、設問とは関係のない別の数字と混同しないように注意しましょう。

答え:342人

例題3(応用)

問題

例題2と同じ文章を用いる。今度は、「この調査からわかった結論」を、日本語で簡潔にまとめよ。今度はスキミングの視点(結論を述べている文はどこか)で読むこと。

解答・解説を見る

この文章は1つの段落なので、パラグラフリーディングの考え方を使い、「結論を述べている文はどれか」を探します。文章の最後の一文 "The results showed a clear pattern: students who slept less than six hours per night on average scored noticeably lower than those who slept seven hours or more." が、調査結果(結論)をまとめている文です。

コロン(:)の後にある内容が、具体的な結論の中身です。「平均睡眠時間が6時間未満の学生は、7時間以上の学生よりも、試験の点数が明らかに低かった」という趣旨を読み取ります。

**答え:例)平均睡眠時間が6時間未満の学生は、7時間以上眠る学生より試験の成績が低い傾向がある。

確認問題

問題

次の1文だけを読み、「イベントが開催される都市名」をスキャニングの要領で答えよ。

The annual International Science Fair, which usually attracts thousands of young researchers from around the world, will be held in Vancouver this year after two years of being held online due to travel restrictions.

答え

Vancouver(バンクーバー)