文法 / 時制

過去完了形(大過去)

要点整理

現在完了形が「過去のある時点」と「現在」を結びつける時制だったのに対して、過去完了形は「過去のある基準時点」と、それよりもさらに前の時点(大過去)を結びつける時制です。形は「had+過去分詞」で、主語の人称や数に関係なく had は常に同じ形を使います。

なぜ「過去完了形」が必要なのか

過去に起こった2つの出来事について話すとき、その2つがどちらも同じ「過去形」で表されると、どちらが先に起こったのかがあいまいになることがあります。

When I arrived at the station, the train left.

この文では、arrived(到着した)と left(出発した)がどちらも過去形なので、「到着したのと出発したのがほぼ同時だった」ようにも読めてしまいます。「電車がすでに出発してしまった後に到着した」ということをはっきり伝えたい場合は、より前に起こった出来事(電車の出発)を過去完了形にします。

When I arrived at the station, the train had already left.(私が駅に着いたとき、電車はすでに出発してしまっていた。)

had left(過去完了形)にすることで、「到着した」という過去の基準時点よりもさらに前に「出発した」という出来事が起こっていたことが、はっきりと伝わります。このように、過去完了形は「2つの過去の出来事の、時間の前後関係」を明確にするための時制です。

過去完了形の基本パターン

過去完了形は、多くの場合、次のように「基準となる過去の出来事(過去形)」とセットで使われます。

基準となる過去の出来事(過去形) ← 大過去の出来事(過去完了形)

I had finished my homework before my mother came home.(母が帰宅する前に、私は宿題を終えていた。)

came home(帰宅した)という過去の基準時点よりも前に、had finished(終えていた)という出来事が起こっていたことを表しています。

She had never been to Okinawa until she visited it last year.(彼女は去年沖縄を訪れるまで、一度もそこに行ったことがなかった。)

until she visited it last year(去年そこを訪れるまで)という過去の基準時点よりも前の期間について、「一度も行ったことがなかった」という経験を過去完了形で表しています(現在完了形の経験用法が、そのまま過去にずれた形と考えるとわかりやすいでしょう)。

現在完了形と過去完了形の関係

過去完了形は、現在完了形の基準点を「現在」から「過去のある時点」にそのままスライドさせたもの、とイメージすると理解しやすくなります。現在完了形が持っていた継続・経験・完了・結果という4つの用法は、過去完了形でもそのまま応用できます。

基準点 時制
現在 現在完了形 I have lived here for ten years.(今までの10年間住んでいる)
過去のある時点 過去完了形 I had lived here for ten years when I moved to Tokyo.(東京に引っ越したときまでの10年間住んでいた)

beforeやafterがあれば過去完了形は省略されることもある

before(〜する前に)after(〜した後に) のように、それ自体が時間の前後関係をはっきり示す接続詞が使われている場合は、前後関係が文脈から明らかなので、過去完了形の代わりに過去形が使われることもあります。

I had finished my homework before my mother came home. ≒ I finished my homework before my mother came home.

ただし、when のように前後関係を自動的には示さない語を使う場合や、2つの出来事の間に時間的な隔たりを強調したい場合には、過去完了形を使うのが基本です。

例題

例題1(基本)

問題

次の( )内の動詞を、過去形または過去完了形の正しい形に直しなさい。

By the time the movie (start), we (find) our seats.

解答・解説を見る

by the time the movie started(映画が始まるまでには)という過去の基準時点が、the movie started という過去形で表されています。「席を見つけた」という出来事は、この基準時点よりも前に完了していたことを表したいので、こちらは過去完了形にします。

答え:started / had found

例題2(標準)

問題

次の日本語を、過去完了形を使って英語に直しなさい。

私が空港に着いたとき、飛行機はすでに離陸してしまっていた。

解答・解説を見る

「空港に着いた」という過去の基準時点(arrived at the airport)よりも前に、「離陸した」という出来事が起こっていたことを表す文です。基準時点の動詞は過去形、それより前の出来事の動詞は過去完了形にします。

take off(離陸する)の過去分詞は taken off です。「すでに」を表す already を過去完了形の had の直後に置きます。

答え:When I arrived at the airport, the plane had already taken off.

例題3(応用)

問題

次の文の間違いを指摘し、正しい文に直しなさい。理由も説明しなさい。

I lost the wallet that my grandmother gave me for my birthday.

解答・解説を見る

この文自体は、実は文法的に間違っているとは限りません。もし「祖母が誕生日にくれた」ことと「なくした」ことの前後関係を強調する必要がなければ、過去形のままでも自然な文です。しかし、「なくした(lost)」という出来事よりも前に「もらった(gave)」という出来事が起こっており、その時間差を明確に示したい場合には、より前に起こった出来事を過去完了形にするのが適切です。

このように、過去完了形を使うかどうかは、文法的な誤りというよりも、「2つの過去の出来事の前後関係をどれだけはっきり示したいか」によって判断が分かれる場合があります。前後関係を明確にしたい場合の文は、次のようになります。

答え:I lost the wallet that my grandmother had given me for my birthday.(「もらった」のが「なくした」よりも前であることを明確にする場合)

確認問題

問題

次の( )内の動詞を、過去形または過去完了形の正しい形に直しなさい。

When I woke up, it (stop) snowing.

答え

had stopped(「目が覚めた」という過去の基準時点よりも前に、雪がやんでいたことを表す過去完了形)