文法 / 不定詞
不定詞の受動態・完了形
要点整理
これまで学んできたto不定詞は「to+動詞の原形」という単純形でしたが、不定詞にも受動態(される)や完了形(した)を作る形があります。
不定詞の受動態:to be + 過去分詞
不定詞の意味上の主語が、その動作を「する」側ではなく「される」側であるとき、to be + 過去分詞 の形を使います。
I want to be loved by everyone.(私はみんなに愛されたい。)
I(意味上の主語)は「愛する」側ではなく「愛される」側なので、能動の to love ではなく、受動の to be loved を使います。
There is a lot of work to be done before the deadline.(締め切りまでにやるべき仕事がたくさんある。)
work(仕事)は「する」側ではなく「される」側なので、形容詞的用法の不定詞も受動態の to be done になっています。
不定詞の完了形:to have + 過去分詞
不定詞が表す内容が、文の述語動詞が表す時点よりも前の時に起きたことを表すとき、to have + 過去分詞 の形を使います。これを「時制のズレ」と呼びます。
He seems to be rich.(彼は金持ちのようだ。)← seemsと同じ「現在」のこと
He seems to have been rich.(彼は昔金持ちだったようだ。)← seemsより前の「過去」のこと
1つ目の文は、to不定詞の単純形 to be を使っており、「今、金持ちであるように見える」という、述語動詞 seems と同じ時点のことを表しています。2つ目の文は完了形 to have been を使っており、「(今そう見えるかどうかは別として)過去のある時点で金持ちだった」ことを表しています。
She is said to have lived in Paris when she was young.(彼女は若い頃パリに住んでいたと言われている。)
この文は、It is said that she lived in Paris when she was young. とほぼ同じ意味です。述語動詞 is said(現在)よりも、パリに住んでいたのはさらに前の出来事なので、完了形の不定詞が使われています。
完了形+受動態の組み合わせ:to have been + 過去分詞
完了形と受動態を組み合わせた to have been + 過去分詞 の形もよく使われます。
The building is believed to have been built in the 19th century.(その建物は19世紀に建てられたと信じられている。)
the building(意味上の主語)は「建てる」側ではなく「建てられる」側なので受動態にし、さらに「信じられている(現在)」よりも「建てられた」のは前のことなので完了形にする、という2つの要素が組み合わさっています。
例題
例題1(基本)
問題
次の英文の( )内から適切な方を選べ。
(1) This letter needs (to write / to be written) in English.
(2) He seems (to know / to have known) the answer already at that time.
解答・解説を見る
(1) this letter(この手紙)は「書く」側ではなく「書かれる」側なので、受動態の to be written が適切です。
This letter needs to be written in English.(この手紙は英語で書かれる必要がある。)
(2) at that time(あの時)という過去を表す語句があることから、seems(現在)よりも前の時点のことを述べているとわかります。したがって完了形の to have known が適切です。
He seems to have known the answer already at that time.(彼はあの時、すでに答えを知っていたようだ。)
答え:(1) to be written (2) to have known
例題2(標準)
問題
次の英文を、It is said that ... の構文を使わずに、S+be said+to doの形で書き換えよ。
It is said that the actor was very popular in the 1990s.
解答・解説を見る
that節の主語 the actor を文全体の主語にし、動詞を is said に変えます。that節の内容(was very popular)は、is said(現在)よりも前の過去のことなので、to不定詞は完了形の to have been にする必要があります。
The actor is said to have been very popular in the 1990s.
答え:The actor is said to have been very popular in the 1990s.(その俳優は1990年代にとても人気があったと言われている。)
例題3(応用)
問題
次の英文を日本語に訳し、なぜこの不定詞の形が使われているのかを説明せよ。
The old bridge is said to have been destroyed by a flood many years ago.
解答・解説を見る
まず不定詞の形を分析します。to have been destroyed は、完了形(to have + 過去分詞)と受動態(be + 過去分詞)が組み合わさった形です。
意味上の主語である the old bridge(その古い橋)は、「壊す」側ではなく「壊される」側なので受動態が必要です。また、「壊された」のは、述語動詞 is said(現在言われている)よりも前の many years ago(何年も前)の出来事なので、完了形も必要になります。この2つの条件がそろうため、to have been destroyed という形になっています。
答え:その古い橋は、何年も前に洪水で壊されたと言われている。(受動態:橋は「壊される」側だから/完了形:「壊された」のはis saidより前の出来事だから)
確認問題
問題
次の英文の( )内から適切な方を選べ。
She is believed (to be / to have been) a great singer in her youth.
答え
to have been(her youthという過去を表す語句があり、believedより前の時のことを述べているため)
She is believed to have been a great singer in her youth.(彼女は若い頃、素晴らしい歌手だったと信じられている。)