文法
共通テスト対策
この科目の共通テストでの傾向
共通テストの英語(リーディング)は、かつてのセンター試験にあった「発音・アクセント」「文法・語法」「整序英作文」といった独立した設問形式を持たず、すべての大問が広告・案内文・記事・ブログ・物語・図表を含む資料など、実際のコミュニケーション場面に近い読解問題として出題されます。そのため、「この空所に入る適切な語句を選べ」というような、文法規則を直接問う設問は基本的にありません。
しかし、これは文法の重要性が下がったことを意味しません。むしろ、独立した文法問題という「足場」がなくなった分、長文の中に埋め込まれた複雑な構文を、その場で正確に読み解く力がこれまで以上に求められるようになりました。特に、関係詞節・分詞構文・比較構文・仮定法・強調構文・倒置といった構造は、説明文や意見文の中でごく自然に使われており、これらの構造を素早く正確に把握できないと、文全体の意味を取り違えたり、設問に答えるための根拠を見つけられなかったりします。接続詞(because, although, whileなど)や前置詞句がどの語句を修飾しているかを正確に読み取る力も、複数の資料や意見を比較・統合する設問で特に重要になります。
リスニングにおいても、時制(現在完了と過去形の違いなど)や助動詞のニュアンス(must と have to、should と had better など)を正確に聞き分けられるかどうかが、会話の内容理解に直結します。
一方で、多くの私立大学の個別試験や国公立大学の二次試験では、正誤問題・空所補充・整序英作文といった、文法・語法を直接問う出題が今も広く行われています。したがって、文法学習は「共通テストの長文を速く正確に読むための基礎体力」であると同時に、「個別試験を突破するための直接の得点源」でもあります。単元ごとの規則を正確に理解し、英文を見た瞬間に構造が浮かぶ状態を目指しましょう。
単元別の対策ポイント
文型・品詞
- 名詞・動詞・形容詞・副詞などの品詞と、S・V・O・C・Mという文の要素を区別できるようにしておくと、複雑な長文でも文の骨組みをすばやく把握できます。
- 5文型(特にSVOCとSVOOの違い)は、長い修飾語句がついた文でも動詞の後ろの要素を正しく識別する土台になります。
時制
- 現在完了形(継続・経験・完了・結果)と過去形の違いは、資料の中の時間関係(いつのことで、それが今にどうつながっているか)を読み取る問題で頻出します。
- 時・条件を表す副詞節の中では未来のことも現在形で表すというルールは、長文中の条件表現(If you 〜, you will 〜.)を正確に理解するために欠かせません。
助動詞
- can/must/shouldなどが表す「推量」と「義務・提案」の意味の違いを区別できるようにしておくと、会話文や意見文の主張の強さを正しく読み取れます。
- 助動詞+have+過去分詞(過去の推量・後悔)は、資料の中で過去の出来事への評価を述べる文でよく使われます。
受動態
- 「誰が」ではなく「何がどうされたか」に焦点を当てる受動態は、説明文・記事でよく使われる文体です。by以下が省略されている文にも慣れておきましょう。
- 群動詞の受動態(be looked after by 等)や、SVOOの受動態は、資料読み取り問題での言い換え表現として狙われやすいです。
不定詞
- to不定詞の3用法(名詞的・形容詞的・副詞的)を見分ける力は、目的(〜するために)なのか結果(その結果〜した)なのかを正確に読み取るために重要です。
- too...to構文やenough to構文は、意見文で程度や可能性を述べる際によく使われます。
動名詞
- 動名詞と不定詞の使い分け(動詞によってどちらを目的語に取るか)は、細かい語法知識として個別試験で問われやすい分野です。
- look forward to -ingのような「前置詞のto」を含む頻出表現は、メールや案内文の締めくくりの表現として資料読解にもよく登場します。
分詞
- 現在分詞・過去分詞の後置修飾(名詞を後ろから説明する用法)は、長い名詞句を含む説明文・資料を読むうえで欠かせない知識です。
- 分詞構文は、接続詞を使わずに簡潔に情報を付け加える書き言葉の特徴的な文体なので、意味(時・理由・付帯状況など)を文脈から判断する練習をしておきましょう。
比較
- as...asや比較級・最上級は、資料やグラフを使った問題で、複数のものを比べて説明する文に頻出します。
- the+比較級, the+比較級(〜すればするほど…)のような比較の重要構文も、意見文の論理展開でよく使われます。
関係詞
- 関係代名詞・関係副詞は、1つの名詞に説明を付け加えて長い名詞句を作る、長文読解で最も重要な文法項目の1つです。
- 非制限用法(コンマ+関係詞)は、補足情報を追加する働きなので、コンマの前後で文の骨組みが変わらないことを意識して読みましょう。
仮定法
- 仮定法過去・仮定法過去完了は、「実際にはそうではないが、もし〜だったら」という筆者の想定を表すので、事実と仮定を混同しないように読むことが重要です。
- I wish / as ifを使った仮定法は、会話文や物語文で話し手の願望・心情を表す表現として登場します。
接続詞・前置詞
- becauseとbecause of、althoughとin spite of/despiteのように、意味が似ていて形(節か名詞か)が異なる語句の使い分けは、長文中の因果関係・対比関係を正確につかむために重要です。
- 前置詞+動名詞(look forward to -ingなど)は、案内文やメール文の決まり文句として頻出するので、意味ごと覚えておくと読解のスピードが上がります。
特殊構文
- 倒置(否定語やOnlyが文頭に来る形)は、筆者が特に強調したい内容を示すサインなので、通常とは異なる語順に出会っても慌てずに主語と動詞を探せるようにしておきましょう。
- 強調構文(It is ... that ...)や同格のthat(the fact that 〜など)は、意見文・説明文で「何が」「どんな内容が」重要なのかを正確に伝える働きをしており、資料の要点をつかむ手がかりになります。
実戦問題
共通テスト形式を意識した、読解の中で文法・構文の理解を試す問題を解いてみましょう。
実戦問題1
問題
次のお知らせを読み、後の問いに答えよ。
Notice: City Library Summer Event If you return any book by the end of August, you will receive a special bookmark. Members who have borrowed more than five books since June will also be invited to a free reading event in September.
このお知らせの内容と一致するものとして最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① Anyone who visits the library in August will get a bookmark. ② People must return a book by the end of August to get a bookmark. ③ Members must borrow exactly five books to join the reading event. ④ The reading event will be held before the end of August.
解答・解説を見る
お知らせの最初の文は If you return any book by the end of August, you will receive a special bookmark.(8月末までに本を1冊でも返却すれば、特製のしおりがもらえる)という条件文です。条件を表すif節の内容(8月末までに本を返却すること)が、しおりをもらうための条件になっているので、②が本文の内容と一致します。
①は「訪れるだけ」でよいとしている点が、実際には「返却する」ことが条件になっているため誤りです。③は More than five books(5冊より多く)という表現を「ちょうど5冊」と誤読しています。④はイベントが September(9月)に開催されるとあるので、「8月末より前」という記述と矛盾します。
答え:②
実戦問題2
問題
次の英文を読み、下線部の意味として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
Many students think that studying grammar is boring. Only when they start reading English novels do they realize how useful grammar knowledge really is.
① 学生たちは英語の小説を読み始めるとすぐに、文法が退屈だと気づく。 ② 学生たちが英語の小説を読み始めて初めて、文法知識が本当に役立つと気づく。 ③ 学生たちは文法を学ばなければ、決して英語の小説を読み始めることはない。 ④ 学生たちが文法知識の重要性に気づくことは、めったにない。
解答・解説を見る
下線部は Only when 〜 という副詞節が文頭に置かれているため、直後の主節が do they realize という倒置した語順になっています。これは「〜して初めて…する」という意味を強調する典型的な倒置の形です。
主節の内容は they realize how useful grammar knowledge really is(彼らは文法知識が本当にどれほど役立つかに気づく)であり、それが起こるタイミングを Only when they start reading English novels(彼らが英語の小説を読み始めたとき、それだけ)が示しています。したがって「英語の小説を読み始めて初めて、文法知識が本当に役立つと気づく」という②が正しい訳です。
答え:②
実戦問題3
問題
次の英文を読み、本文の内容から判断して、空所に入れるのに最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
Ken has wanted to visit Kyoto for a long time. Last month, his aunt, who lives near Kyoto Station, invited him to stay at her house during the summer vacation. Ken was very happy because ( ).
① his aunt had never visited Kyoto before ② he would finally be able to see the city he had always wanted to visit ③ he had already visited Kyoto many times ④ his aunt was going to move to another city soon
解答・解説を見る
本文の最初の文で Ken has wanted to visit Kyoto for a long time.(ケンは長い間、京都を訪れたいと思っていた)という背景が示され、続けて「京都駅の近くに住むおばが、夏休みの間、自分の家に泊まるよう彼を招待した」という出来事が述べられています。この2つの情報をつなげると、「ケンがずっと訪れたいと思っていた街をついに見ることができる」ことがケンが喜んだ理由だと判断できます。
①はおばについての記述で、本文の主題(ケンが京都に行きたかったこと)と関係がありません。③は最初の文(長い間訪れたいと思っていた=まだ訪れたことがない)と矛盾します。④はそのような記述が本文にありません。
答え:②